【3Dモデリング】ワイヤーフレーム・サーフェス・ソリッドの違いとは
3Dモデルについて、3つの表現方法をご紹介します。ワイヤーフレーム・サーフェス・ソリッドはそれぞれどのような特徴があり、どのように使い分けられるのでしょうか。
目次
3種類の3D表現方法
立体をコンピューター上でモデリングするとき、3種類の表現方法があります。
立方体で考えると、中身までぎっしり詰まっている状態を認識するのがソリッドと呼ばれる表現方法です。ソリッドは中身が詰まっていることから、羊羹(ようかん)に例えて説明されることがあります。
また、中身が空の状態で、表面だけを認識するのがサーフェスで、これは空箱に例えられます。
そして中身も面もなく、枠だけを表現するのがワイヤーフレームです。
コンピューター上での処理としては、ワイヤーフレームが最も軽く、1970年代の初期3Dモデリングはこの方法によって表現されていました。続いて1980年代には、サーフェスの表現ができるようになっていきます。
1990年代、コンピューターの演算能力の進化・向上に加え、Windowsが登場したことにより、ソリッドでの表現が可能な3D CADが普及しはじめました。
2018年現在は、ソリッドとサーフェスの両方で表現できる3D CADが主流となっています。
ワイヤーフレーム・サーフェス・ソリッドそれぞれの特徴
それでは、この3つの表現方法それぞれの特徴を見ていきましょう。
ワイヤーフレーム
ワイヤーフレームは、立体を無数の点でとらえ、それぞれの点を線で結んで表現したものです。
頂点と稜線(りょうせん)の情報によるデータ構造から表現されていて、データ量は3つの表現方法のうちで最も少なく、演算・処理・表示が軽いのが特徴です。これにより、画像処理能力や演算処理能力の高くないパソコンでも表示可能です。
しかし、曲線のものでも直線の集合体としてしか表現できません。また、立体感をつかみにくく表面積や質量の計算も、ワイヤーフレームの3Dモデルでは不可能です。
このようにデメリットも多いワイヤーフレームが利用される場面は少ないですが、サーフェスやソリッドの3Dモデルを作る際に、その過程として使われることがあります。最初にワイヤーフレームを作り、それに沿って面を作ることでサーフェスに変換したり、そこからさらにソリッドへ変換したりといった手法がとられています。
サーフェス
サーフェスは、ワイヤーフレームの点と線の表現にさらに面での表現が加わったものです。またサーフェスのなかにも、平面のみで表す平面モデルと曲面での表現が可能な曲面モデルがあります。
サーフェスは、ワイヤーフレームでは不可能な面表示、ソリッドでは処理できない複雑な形状のモデルを作るのに向いています。このため、外観デザインや自動車のボディー設計などがよく使われる例です。またキャラクターやインテリアのデザインなども、サーフェスを用いて設計されます。
ソリッド
ソリッドはさらに、サーフェスの中身まで表現した3Dモデルです。ワイヤーフレームの拡張であったサーフェスに対し、ソリッドはCSGやB-repなど全く別のデータ構造を持ちます。
実際の物体のように切ったりつなげたりといった処理が可能で、体積・質量の計算も可能です。さらにオブジェクトとオブジェクトの干渉チェックも可能なことから、建築資材や電気部品など工業製品の設計に特化しています。
2018年現在、販売されている3D CADでは、このソリッドモデルを中心としてモデリングし、機能の一部としてサーフェスを利用するタイプが主流となっています。
ソリッドとサーフェスを使い分けて効率化
次に、ソリッドモデルとサーフェスモデルの使い分けについて考えます。この2つをうまく使い分けることで、設計の効率化と質の向上につながります。
サーフェスは、いくつかの面からなる形状のものや、複雑な曲面を持つものを表現する場合に向いています。例えば家電の外装部分の設計、または自動車のボディーをデザインするときに使われます。このほかにも、曲面が多用される流体部品の設計にも使われることがあります。
このようにサーフェスで作成したモデルを、最終的にソリッドへと変換し、厚みや質量を持たせる手法が取られます。これには3つの手法があります。
- サーフェスに厚みを持たせる方法。任意の形状をサーフェスで作っておき、それを厚くしてソリッドにする手法です。
- 直方体などの単純立体にサーフェスを差し込み、サーフェスによって削り取る方法。差し込むサーフェスに任意の曲面を持たせておくことで、削り取った後にその形状を出すことができます。
- 2つ以上のサーフェスによって閉じた空間を作り出し、中身を詰めてソリッドに変換する方法。
これらの手法を用いて、最初は処理の軽いサーフェスによってベースとなる形状を作り、それをソリッドに変換することで設計が行われます。
3D表現方法の使い分けが効率化のカギ
3Dモデリングに使われる3つの手法、ワイヤーフレーム・サーフェス・ソリッドについてご紹介しました。この3つの表現方法により、さまざまな設計が可能です。このとき、この3つの手法をいかに簡単に、直感的に行えるかが設計効率化のカギを握ります。これは、3D CADを選ぶうえでも重要なポイントです。ワイヤーフレームからの立体化、サーフェスからソリッドへの変換を上手に使い分け、設計の効率化を図りましょう。
参考:
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