3D CADの中間ファイルとは?知っておきたい使える拡張子

3Dデータの受け渡しに必要となる中間ファイル。この中間ファイルはどのような役割を果たしながら、3Dデータの受け渡しを可能にしているのかを見てみましょう。また、中間ファイルの種類と規格についてもご紹介します。

中間ファイルが必要な理由とは

中間ファイルはどのような意味と役割を持ち、またなぜ必要なのでしょうか。これらを考えながら、中間ファイルが必要な理由をご紹介します。

中間ファイルの役割

3D CADで作成したデータを取引先とやり取りする際に、使っている3D CADソフトが同じとは限りません。CADソフトが違う場合は、そのままの状態でデータを開くことはできません。そこで、異なるCADソフトの間でデータを交換する際に必要となるのが、互換性のある中間ファイルです。

例えば、日本語を話す人、フランス語を話す人がいたとします。お互いの言葉はわかりませんが、どちらも英語はわかるとしたらどうでしょう。このときの英語の存在が中間ファイルといえます。

このように中間ファイルは、異なるCADアプリケーション間の中間通訳者のような役割を果たします。3Dデータのやり取りが頻繁に行われる現代において、非常に重要な役割を担っているのです。

カーネルと中間ファイル

しかし、間に入って通訳に使うのは英語だけとは限らないというように、中間ファイルにはさまざまな種類があります。多くの種類がある中間ファイルを考えるうえで重要となるのが、CADのカーネルです。

カーネルとは、CAD において3Dをモデリングするうえでのコアとなっている部分で、PCで言えばOSに相当する部分です。3D CADで点や線、立体を表現し、それらを変更・削除・演算している中枢がカーネルなのです。

多くのCADに使われているカーネルには、次のようなものがあります。

  • Parasolid
    Unigraphics Solutions (ユニグラフィックス・ソリューションズ) によって開発されたカーネルで、他社が使用できるよう市販されています。ソリッドの受け渡しが得意で機械系で多く使われています。
  • ACIS
    同じく市販されているカーネルで、Spatial Technology(スペイシアル・テクノロジー)が開発しています。建築系CADに多く採用されています。
  • SIGN BASE
    日本のリコーが開発しているカーネルで、同様に市販されています。
  • CATIA
    Dassault (ダッソー)が自社製品に使うために開発した独自カーネルです。
  • CreoParametoric
    PTC社が開発しているカーネルで、自社用独自のものとなります。

このほかにも多くの種類のカーネルが存在します。
異なるCAD間でのデータのやり取りがそのままでできないのは、このカーネルが異なっているためです。一昔前であれば、WindowsとMacではデータのやり取りができなかったのと同じです。

中間ファイルのフォーマットと拡張子

中間ファイルはその名の通り、どのCADのファイル形式にも依存しない中間的な存在です。中間ファイルとして使われているファイル形式には多くの種類があります。その中から代表的なものをご紹介します。

  • STEP(STP)
    国際標準化機構(ISO)により規格されたファイル形式です。国際標準として普及が進んでいます。
  • IGES(IGS)
    米国国家規格協会(ANSI)によって策定・規格されたファイル形式で、自動車関連でよく使われています。
  • DWF・DXF・DWG
    オートデスク社が開発したファイルフォーマットです。オープンソースとなり、さまざまなCADでも使用されています。
  • JWC・JWW
    フリーソフトJW CADで使用されるファイル形式です。
  • SIMA
    日本測量機器工業会が策定した中間ファイルの形式です。測量データの交換によく使われます。
  • SXF(SIM)
    CADデータ交換標準コンソーシアム (SCADEC) が策定した中間ファイル形式です。

.stp、.stepファイルをSketchUpにインポート可能
SimLab STEP Importerのご注文はこちら

.igs、.igesファイルをSketchUpにインポート可能
SimLab IGES Importerのご注文はこちら

中間ファイルの規格化

中間ファイルの形式に変換されていれば、大抵のCADはそのデータを開いて形状を表示・確認できます。しかし、中間ファイルも完全に互換性があるというわけではありません。形状が複雑になるほど、異なるCADで復元したときにズレが生じ、修正が必要となる場合もあります。

中間ファイルの形式が統一されていなければ、復元時のズレに対する修正方法も統一されません。またCADの開発元も、どの中間ファイルを基準として開発するかのフォーカスが困難になります。そこで、STEPがISOにより規格化され、標準化された位置づけとなり多く使われているのです。また、異なるCAD間のデータを直接変換する、ダイレクトトランスレーターも販売されています。

CADとCADをつなぐ中間ファイル

中間ファイルの役割と種類についてご紹介しました。3Dデータをやり取りする際には、中間ファイルの形式に変換して受け渡すのが基本です。このように、中間ファイルは異なるCADとCADをつなぐ、大事な役割を持っているのです。

参考:

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