3D CADから3Dプリンターのデータを生成!必要な設備や3Dモデルが造形されるまでの工程を解説

3D CADから3Dプリンターのデータを生成するには

3D CADで作成したデータを使って3Dプリンターで造形することができます。まずは、3Dプリンターを使用するために必要なものを知り、使用できるデータのファイル形式を把握することが大切です。また、3Dデータ作成から造形(3Dプリントする)までの工程を知っておくことで、大まかなイメージができるでしょう。本記事では、3D CADや3Dプリンターの基礎知識をおさらいしながら、3Dプリンターを使うために必要なものやファイル形式、データの作成方法や造形物が完成するまでの工程について解説します。

3Dモデリングソフト SketchUpProのサブスク詳細ページへの誘導バナー

3D CADと3Dプリンターの関係

3D CADと3Dプリンターは、現代の製造業において密接な関係を持っています。ここでは3D CADと3Dプリンターの関係について見ていきましょう。

3D CADとは

3D CAD(3次元コンピュータ支援設計)とは、コンピュータを利用して製品の設計や部品のモデリングを行う技術です。このソフトウェアを使用することで、設計者は複雑な形状や構造を持つ3Dモデルを正確に作成することができます。3D CADは、製品の設計から試作、修正、最終的な製造に至るまでのプロセスを大幅に短縮し、効率化することが可能です。また、3D CADで作成されたデータは3Dプリンターで直接使用することができ、プロトタイピングの速度と精度を向上させることができます。

3DCADについて詳細は「3D CADとは?利用するメリットやその種類、モデリング方法について解説」の記事で解説してます。

3Dプリンターとは

3Dプリンターは、デジタルデータを基にして物理的な三次元オブジェクトを造形する装置です。CADソフトウェアで設計されたモデルを、層状に材料を積み重ねることで実体化します。この技術は、プロトタイピングや製品製造に革命をもたらし、多様な業界で利用されています。

3Dプリンターについて詳細は、「3Dプリンターとは」で解説してます。

3Dプリンターを使う際に必要なもの

3Dプリンターを使うためには、いくつかの必要な要素があります。ここで必要なものを見ていきましょう。

3Dデータ

3Dデータは、3Dプリンターで物体を造形するための基本となる情報です。このデータは、3D CADソフトウェアを使用して作成されることが多く、デジタル形式で物体の形状や寸法を詳細に記述します。3Dプリンターが読み取れるデータ形式には、STLやOBJなどがあります。正確な3Dデータを作成することで、3Dプリンターはそれを元に精密な造形を行うことが可能になります。

3Dプリンター

3Dプリンターは、3Dデータを基に物体を層状に造形する装置です。このプリンターは、様々な素材を使用して、設計されたデジタルモデルを実物として出力します。主に使用される素材には、プラスチック、金属、セラミックなどがあります。3Dプリンターの技術は、プロトタイピングから製品製造、さらには医療や建築分野まで幅広く応用されています。正確な3Dデータと適切な設定を用いることで、複雑な形状や細部まで忠実に再現することが可能です。

3Dプリンターに必要な素材

3Dプリンターで造形を行う際には、適切な素材の選択が重要です。一般的に使用される素材には、PLA(ポリ乳酸)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、PETG(ポリエチレンテレフタラートグリコール)などがあります。これらの素材は、それぞれ異なる特性を持っており、造形する物体の用途や耐久性、耐熱性に応じて選ばれます。例えば、PLAは生分解性があり環境に優しい素材で、初心者にも扱いやすいため、多くの趣味のプロジェクトに利用されます。一方、ABSは高い耐熱性と強度を持ち、工業用途に適しています。適切な素材を選ぶことで、3Dプリンターの可能性を最大限に引き出すことができます。

3Dプリンターに対応したデータのファイル形式

3Dプリンターで使用するためのデータファイル形式には、主にSTL(.stl)とOBJ(.obj)の2種類があります。それぞれについて解説します。

STL(.stl)

STLファイル形式は、3Dプリンターで最も広く使用されているデータ形式の一つです。この形式は、3Dモデルを単純な三角形のメッシュとして表現し、それによって3Dプリンターが読み取りやすくなっています。STL形式で保存されたデータは、3Dプリンターにとって解釈しやすく、高精度な造形が可能になるため、非常に重宝されています。

OBJ(.obj)

OBJファイル形式も3Dプリンターで利用されるポピュラーなデータ形式の一つです。この形式は、テクスチャや色情報を含むことができ、より複雑な3Dモデルの表現が可能になります。OBJ形式は、特に色彩を重視する造形物に適しており、リアルな見た目のプロトタイプ作成に役立ちます。また、多くの3Dモデリングソフトウェアが対応しているため、広範囲にわたるプロジェクトでの使用が期待できます。

3Dプリンターのデータを作る方法

3Dプリンターで実際に造形を始める前に、適切な3Dデータを作成することが必須です。このセクションでは、3Dプリンター用のデータを作成するための主な方法を解説します。

3D CADを利用する

3D CADを利用する際には、まず適切なソフトウェアの選定が重要です。一般的に、機械設計や建築設計に特化したソフトウェアが推奨されます。これにより、精密な寸法設定や複雑な形状のモデリングが可能になります。また、3D CADを使用することで、設計の修正や再設計が容易になるため、時間とコストの節約にもつながります。次のステップでは、これらの3Dモデルを3Dプリンターでどのように造形するかを詳しく解説します。

3Dモデリングソフトを利用する

3Dモデリングソフトを使用することで、3DCADに比べてより直感的かつ自由なデザインが可能になります。特に、キャラクターモデルや複雑なテクスチャが必要なアート作品に適しています。このソフトウェアは、ユーザーの創造力を最大限に引き出すための多様なツールを提供し、細部の調整も簡単に行えます。次のセクションでは、これらのモデルをどのように3Dプリンターで実体化するかを見ていきましょう。

3Dモデリングソフトについて詳細は、「3dモデリング ソフト」の記事で解説してます。

3Dスキャナーを利用する

3Dスキャナーを利用する方法は、既存の物体から直接3Dデータを生成する手法です。この技術は、物理的なオブジェクトを高精度でデジタル化し、3Dプリンターでの再現を可能にします。特に複雑な形状や細部が詳細なアイテムをモデル化する際に有効です。スキャナーはオブジェクトを360度から読み取り、その全体像を正確にデータ化するため、後の加工が少なくて済む点も大きなメリットです。
3Dスキャナーについて詳細は、「3Dスキャナーとは」の記事で解説してます。

配布サイトからデータをダウロードする

配布サイトからデータをダウロードする方法は、3D CADや3Dモデリングスキルがなくても3Dプリンターで造形を始めることができる手軽な選択肢です。インターネット上には、無料または有料で3Dプリント用のデータが提供されているサイトが多数存在します。これらのサイトからは、様々なカテゴリーの3Dモデルがダウンロード可能で、ファイルは主にSTL形式で提供されています。ダウンロードしたデータは、3Dプリンターの仕様に合わせて必要に応じて調整し、その後プリントプロセスを進めることができます。

3dプリンター データ 作り方について詳細は、「3Dプリンターのデータを作成!5つの方法や造形手順、ファイル形式について解説」の記事で解説してます。

3Dプリンターで造形物が完成するまでの一般的な工程

3Dプリンターで造形物が完成するまでの一般的な工程は、いくつかの重要なステップに分けられます。ここではステップごとに見ていきましょう。

3D CADで3Dデータを作成する

3D CADを使用して3Dデータを作成する過程は、3Dプリンターでの造形品質を左右する重要なステップです。この段階で、設計者は製品の機能や形状を詳細に検討し、それをデジタルモデルとして具現化します。使用する3D CADソフトウェアには、AutoCAD、SolidWorks、Fusion 360などがあり、それぞれ特有の機能を持っています。データ作成時には、寸法の正確さや形状の複雑さを考慮し、最終的な造形物に必要な詳細を細部にわたって設計する必要があります。このプロセスを丁寧に行うことで、後の工程での問題を避け、効率的な3Dプリントが可能となります。

3Dデータの整合性チェックを行う

3D CADで作成された3Dデータは、3Dプリンターでの造形に移る前に整合性チェックが必要です。このチェックは、データに含まれるエラーや不具合を発見し、修正するために行われます。例えば、壁の厚さが薄すぎる、または浮いている頂点が存在するなど、プリント時に問題となる要素を事前に排除します。この工程を適切に行うことで、3Dプリンターでの造形時に発生する可能性のある問題を減少させ、品質の高い製品を得ることができます。整合性チェックは、3Dモデリングソフトウェア内で行うことが多く、専用のツールを使用して自動的にエラーを検出し、修正指示を受けることができます。

3Dプリンターに適したデータ形式に変換する

整合性チェックを終えた3Dデータは、次に3Dプリンターで使用可能な形式に変換する必要があります。一般的に多くの3Dプリンターで広く使用されているデータ形式はSTL形式です。この形式に変換することで、3Dプリンターがデータを正確に読み取り、造形するための指示を生成することができます。変換プロセスは、3D CADソフトウェアや専用の変換ツールを使用して行われ、この段階で最終的なデータの確認も行います。データが正しく変換されたことを確認した後、実際の3Dプリントプロセスに移行する準備が整います。

3Dプリンターで造形する

データが3Dプリンターに適した形式に変換された後、いよいよ3Dプリントの工程に入ります。この段階では、プリンターにデータを送信し、造形を開始します。3Dプリンターは、設定されたデータに基づいて、層ごとに材料を積み重ねていきます。このプロセスは「積層造形」と呼ばれ、非常に精密な作業が求められます。プリンターの種類によっては、温度や速度などの細かい設定調整が必要になることもあります。造形が始まると、モデルが徐々に形を成していく様子を目の当たりにすることができ、この瞬間は多くの製作者にとって最もエキサイティングな時間です。

サポート材除去などを行う

造形が完了した後、次のステップはサポート材の除去です。3Dプリンターで複雑な形状を造形する際には、オーバーハング部分を支えるために一時的なサポート材が必要になります。これらのサポート材は、造形物が安定して成形されるためには不可欠ですが、プリント終了後は不要となるため、慎重に取り除く必要があります。サポート材の除去方法は、使用したプリンターや材料の種類によって異なりますが、一般的にはピンセットやカッターを使用して、慎重に剥がしていきます。この作業は非常に繊細で、造形物を傷つけないよう注意が必要です。完全にサポート材を除去した後、造形物の表面を滑らかに仕上げるために、細かい研磨作業を行うこともあります。

3Dプリンターに必要な3Dデータが作成できるSketchUpとは

3Dプリンターで使用する3Dデータを作成するために、SketchUpというソフトウェアが非常に便利です。SketchUpは、直感的な操作性と柔軟性を兼ね備えた3Dモデリングプラットフォームであり、初心者からプロフェッショナルまで幅広いユーザーに支持されています。このソフトウェアは、建築やインテリアデザイン、機械設計など、多岐にわたる分野で利用されていますが、3Dプリンター用のデータ作成にも最適です。SketchUpで作成したモデルは、STLやOBJといった3Dプリンター対応のファイル形式にエクスポートすることができ、これにより直接3Dプリンターでの造形が可能となります。また、SketchUpの利点は、豊富なプラグインやオンラインコミュニティによるサポートが充実している点も挙げられます。これにより、ユーザーは自分のニーズに合わせて機能を拡張しやすく、より複雑なデザインも容易に作成することができます。

SketchUp入門ガイドブック ホワイトペーパーへの誘導バナー

必要なものや工程を把握したら3Dデータと3Dプリンターで造形してみよう!

必要なものや工程を把握したら、実際に3Dデータと3Dプリンターを使って造形を始めてみましょう。SketchUpで作成した3DモデルをSTLやOBJ形式にエクスポートし、3Dプリンターでの出力を試みることができます。この過程で、デザインの調整やスケーリングなど、細かな修正を加えることが重要です。最終的には、自分だけのオリジナルの3D造形物を手に入れることができるでしょう。

3Dモデリングソフト SketchUpProのサブスク詳細ページへの誘導バナー

ブログ記事に戻る