3Dスキャナとは?主な活用シーンと具体的な選び方を解説!

3Dスキャナとは

3Dスキャナは対象物の形状や寸法をデジタルデータとして取り込むための機器です。製造業から医療、建築、文化財の保存まで、幅広い分野で活用されています。
本記事では、3Dスキャナの基本的な概要や種類、具体的な使用シーン、選び方について解説します。3Dスキャナの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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3Dスキャナとは

3Dスキャナとは、物体の形状や寸法を高精度にデジタルデータとして取り込む装置です。これにより、物体の立体情報をコンピュータ上で再現することが可能となります。
3Dスキャナは、製造業や医療、建築、文化財の保存など、多岐にわたる分野で利用されています。特に製品の品質管理やリバースエンジニアリング、デジタルアーカイブの作成などでその真価を発揮します。

3Dスキャナの種類

3Dスキャナの種類は、大きく分けて接触式と非接触式の2種類があります。ここでは、それぞれの特徴と用途について詳しく見ていきましょう。

接触式3Dスキャナ

接触式3Dスキャナは、対象物に直接触れることでその形状を測定します。このタイプは「アーム式」と「CMM」の2種類に分かれます。それぞれの特徴について紹介します。

アーム式

アーム式3Dスキャナは、可動式のアームにセンサーまたはプローブが取り付けられており、アームを操作して対象物に触れることで、物体の表面上の三次元座標を測定します。
主に精密な部品の検査や製造業、品質管理などで広く活用されています。

CMM

CMM(座標測定機)は、固定式の機械で、センサーまたはプローブが取り付けられた移動可能なアームを使って対象物に接触させ、物体の三次元座標を計測します。
アーム式と比べて大型で高価なものなので、高精度な測定が可能です。アーム式と同様に製造業や品質管理などで活用されています。

非接触式3Dスキャナ

非接触式3Dスキャナは、対象物に直接触れることなく、その形状や寸法をデジタルデータとして取得する技術です。このタイプの「据え置きタイプ」と「ハンディタイプ」について特徴を紹介します。

据え置きタイプ

据え置きタイプでは1回の撮影で広範囲の測定が可能です。つまり巨大な建築物などのスキャンが可能です。またアパレル業界においては、全身を3Dスキャンして採寸の手間を省くことも可能になりました。
据え置きタイプは、ハンディタイプと比べて精度が高い反面、固定位置での計測のため、位置や角度を変えられないデメリットがあります。そのため、安定した環境での使用をおすすめします。

ハンディタイプ

ハンディタイプは、レーザーや光を使用して対象物の表面をスキャンし、そのスキャンデータを三次元の点群データに変換します。
据え置きタイプと異なり、狭い場所や複雑な形状の裏側などで測定が困難な場合でも小回りが効くため、隅々まで計測できる点がメリットとして挙げられます。デメリットには、手持ちで測定するためブレやすく、据え置きタイプと比べて精度が劣るところが挙げられます。

3Dスキャナの活用シーン

ここでは、3Dスキャナの主な活用シーン紹介します。

品質検査

製造業において、3Dスキャナは品質検査の重要なツールとして利用されています。製品の寸法や形状を高精度でスキャンし、設計図やCADデータと照らし合わせることで、製品の品質を確保します。
特に、自動車や航空機など高精度が求められる分野では、スキャンデータを解析することで、微細な欠陥や寸法のズレを迅速に検出し、製品の信頼性の向上につながります。

リバースエンジニアリング

リバースエンジニアリングでは、既存の製品や部品をスキャンし、デジタルデータとして取得することで、設計図がない物の修復や再設計などが可能になります。
特に製造業では部品の劣化や破損を修復する際に有効で、スキャナで得たデータをもとにCAD(コンピュータ支援設計)ソフトで新しい設計を行うこともできます。
リバースエンジニアリングで3Dスキャナを利用することで、コスト削減と時間短縮を実現し、より精度の高い製品の再生産につながります。

デジタルアーカイブ

文化遺産や美術品、歴史的建造物など、物理的な保存が難しいものを3Dスキャンすることで、デジタルデータとして保存することが可能です。
この技術は、貴重な文化財や資料を後世に伝えるための新しい保存方法として提供されています。

デジタルアーカイブに関して詳細は、「デジタルアーカイブとは?活用シーンやメリット、課題について解説」で解説しています。

3Dプリント

3Dプリントは、3Dスキャナで取得したデジタルデータを基に、物理的なオブジェクトを作成する技術です。3Dスキャナで正確にスキャンされたデータを使用することで、設計ミスを減らし、製品の品質を向上させることが可能です。
製造業では、試作品の作成や部品の製造に広く利用されています。また医療分野では、患者の体に合わせたインプラントや義肢の製作にも活用されています。さらに、教育やアートの分野においても、創造的なプロジェクトの実現に役立っています。

3Dプリンターについては「3Dプリンターとは?主な造形方式や使用手順、3Dデータの作り方まで解説!」の記事を参考にしてみてください。

3Dスキャナの選び方

ここでは、3Dスキャナの選ぶポイントを解説します。

1. 使用用途にあわせて選ぶ

3Dスキャナの選定において、まず考慮すべきは使用用途です。
例えば、リバースエンジニアリング、デジタルアーカイブ、品質検査など、目的に応じて最適なスキャナが異なります。

2. 必要なスペックを軸に選ぶ

3Dスキャナを選ぶ際には、使用用途に応じたスペックを重視することも重要です。ここでは3つの軸を紹介します。

解像度

解像度とは、パソコンやスマホのディスプレイ同様に、一定範囲における画素の密度を示します。画素数が多いほど鮮明になるため、3Dスキャナにおいては解像度を上げることで、対象物の形状を細かく捉えることが可能です。

精度

精度は、取得する点の誤差の大きさを示します。スキャンデータが実物とどれだけ一致しているかを示す指標となるため、高精度のスキャナは寸法や形状の誤差が少なく、正確なデータを取得できます。

スキャン速度

スキャン速度は、3Dスキャナがどれだけ迅速にデータを取得できるかを示す要素です。1秒間に取得できる点の数と、フレームレート数で表現されます。高速なスキャナの場合、短時間で多くのデータを収集できるため、効率的な作業が可能です。

3. スキャンする対象物にあわせて選ぶ

3Dスキャナを選ぶ際には、スキャンする対象物の特性に応じて適切な機種を選定することが重要です。対象物の大きさ、形状、材質、色などが選択のポイントとなります。以下に、それぞれの要素について詳しく解説します。

大きさ

スキャンする対象物の大きさは、3Dスキャナの選定において最も基本的な要素です。3Dスキャナには、大きな対象物に向いている機種、小さな対象物に向いている機種があります。
特に小型の部品やアクセサリーをスキャンする場合は、高精度なハンディタイプのスキャナが適しています。一方、大型の建築物や車両などをスキャンする場合は、広範囲をカバーできる据え置きタイプのスキャナのほうが適しています。

形状

形状が複雑なほど、スキャンが困難になり、データの破損などが生じます。対象物が複雑な形状、細部が多いものであれば、高解像度のスキャナが必要です。逆に、比較的シンプルな形状の対象物であれば、解像度が低めのスキャナでも十分な場合があります。

材質

透明や反射性の高い素材はスキャンが難しく、専用のスプレーやコーティングが必要になることがあります。材質に対応できるスキャナを選ぶことで、より正確なデータを取得することが可能です。

デジタルアーカイブやCGの元データには、色、テクスチャのスキャンが求められます。カラー対応した機種であれば、これらに対応できます。

3Dスキャナで取得した点群データとSketchUpで伝統建築物をモデリング

3Dスキャナで取得した点群データは、建築物の詳細なデジタルモデルの作成にも活用できます。

まず、3Dスキャナを使用して建築物の外観や内部構造を高精度でスキャンします。このスキャンデータは「点群データ」として保存され、無数の点が建築物の形状を正確に表現します。

次に、この点群データをSketchUpなどの3Dモデリングソフトに取り込みます。SketchUpは直感的な操作性と豊富な機能を持ち、点群データを基に3Dモデルを作成するのに適しています。

点群データを参照しながら、建築物の各部位をモデリングし、必要に応じてテクスチャや色を追加していきます。このプロセスにより、建築物の3Dモデルが完成します。さらに、伝統建築物の点群データで同様にモデルを作成すると、デジタルアーカイブ化も可能です。

デジタルアーカイブは、建築物の保存や修復計画の策定、さらには教育や観光資源としても活用されます。3DスキャナとSketchUpを組み合わせることで、歴史的価値のある建築物を未来にわたって守り続けることが可能となるのです。

3DスキャナとSketchUpの取り組み事例は「宮大工がSketchUpと3Dスキャナで取り組む伝統建築物の改修工事とデジタル保存」で解説しています。

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さまざまな用途で利用されている3Dスキャナを活用してみよう!

3Dスキャナは、その多様な用途から、さまざまな分野で活躍されています。

製造業では、部品の品質検査やリバースエンジニアリングに使用され、製品の精度向上や開発期間の短縮に寄与しています。医療分野では、患者の体の形状を正確にスキャンし、カスタムメイドの義肢やインプラントの設計に役立てられています。

また、文化財の保存や修復にも3Dスキャナは欠かせません。歴史的な建築物や彫刻をデジタルデータとして保存することで、将来の修復作業や研究に活用できます。

さらに、教育現場や博物館では、3Dスキャナを使って作成されたデジタルモデルを用いて、よりリアルな体験を提供可能です。

このように、3Dスキャナは多岐にわたる分野でその価値を発揮しています。業界や用途に合わせて、最適な3Dスキャナを選び、活用してみましょう。

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