3Dレンダリングとは?レンダリングの必要性や主な手法と種類について解説


3DCGなどの3Dモデルを作成する設計者やデザイナーにとって、3Dレンダリングの知識は不可欠です。これから3Dレンダリングについて学ぶに当たり、レンダリングの基礎や手法、種類などもあわせて学習すると理解が深まります。本記事では、3Dレンダリングとは何か、その必要性やレンダリングの手法・種類などについて解説します。
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レンダリングとは

レンダリング(rendering)とは、データをコンピューターで処理して画面に表現するためのプロセスのことです。主に3DCG作成で使われる用語ですが、そもそもは抽象的なデータをレンダリングエンジンというソフトウェアで処理して、画像や音声、映像などを生成する一連のプロセスのことを指します。
つまり、コンピューターが扱う数値データなどを、人が理解できる形に翻訳するのがレンダリングです。
レンダリングについては、「レンダリングとは?建築パース制作での効果や工程を解説」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

3Dレンダリングとは

3Dレンダリングとは、3DCGで作成した3Dモデルをもとに、光源や色、影や質感などの効果を計算して、よりリアルな画像や動画に仕上げて出力することを指します。没入感や臨場感のあるコンテンツの作成が可能になるため、建築や製品のデザインに活用されています。

3DCGでレンダリングがなぜ必要?

3DCGを作成する際には、なぜレンダリングが必要なのでしょうか。ここではその主な3つの理由をみていきましょう。

人が理解できる表現にするため

前述したとおり、3Dモデルのデータは、レンダリングによって人が理解できる形になります。3DCGはそもそも、数値や配列などのデータであり、コンピューターにしか理解できないものです。これをレンダリングによって人が認知できる形に表現する必要があります。

データの軽量化

3DCGで作成されたモデルはデータ容量が大きいため、コンピューターは膨大な計算をしなければなりません。
レンダリングは、データ容量の大きな3Dモデルをもとに複雑な計算を実行して2Dコンテンツを作成し、データサイズが軽量化された画像やアニメーションに変換します。これにより、3Dモデルよりもデータが軽量化されます。
データが軽量化されることで、スマホやタブレット、テレビやゲーム機などの日常的に使用されるデバイスで表示・再生できるようになります。

フォトリアルなコンテンツを生成する

レンダリングをすることで、現実に近い見た目の画像や動画を生成できます。レンダリングエンジン(レンダーエンジン)の特性を生かしてさまざまな効果を最適化し、フォトリアルなコンテンツが表示可能となるのです。
たとえば、金属や水などの質感や反射を再現したり、光源の位置や強さを調整して光をよりリアルに表現することができます。また、カメラの設定位置や視野角を最適化して、効果的な画像や映像を生成することも可能です。
レンダリングエンジンの特性が発揮されることで、写実的な効果を加えた3DCG画像やアニメーションを表示することができるようになります。

レンダリングの種類

レンダリングの計算方式にはいくつかの種類があります。ここでは、5種類のレンダリング方式をみていきましょう。

レイトレーシング(Ray Tracing)

レイトレーシングは、光や炎、反射や屈折などをリアルに描写する計算方式です。高品質なレンダリングができるため、フォトリアルな画像や動画の生成が可能です。
レンダリングの中でも広く使われる方式で、よりリアリティを求められるコンテンツに利用されます。たとえば、光や水面の反射をリアルに再現するゲームなどで用いられます。

ラジオシティ(Radiosity)

ラジオシティは、光源から物質に当たって乱反射する間接的な光まで計算するレンダリングの計算方式です。レイトレーシングよりもさらにリアルな表現ができます。ただし、計算が複雑になることから、レイトレーシングよりも計算に時間がかかる点は注意しなければなりません。

Zバッファ法(Z-buffer)

Zバッファ法は、カメラアングルから隠れて見えない部分を省略して処理をするレンダリングの計算方式です。
重なり合う画素同士の奥行きを判定して認識し、前面にあるものだけをレンダリングします。そのため、他のレンダリングよりも高速化して時間を短縮することが可能です。ただし、透明や半透明なモデルは奥行きを判定しにくいため、Zバッファ法は不向きだといえます。
また、コンピューターのメモリに、一時的に奥行き情報を持たなければならないため、多くのメモリ領域を使用することにも注意しなければなりません。

スキャンライン(Scanline rendering)

スキャンラインは、画面の走査線を意味します。画面の奥から1行ごとに分割して奥行きを計算するレンダリングの計算方式です。
光の屈折などの計算を行わないため、比較的高速にレンダリングが可能です。ただし、レイトレーシングやラジオシティと比較すると品質は劣ります。

トゥーンレンダリング(Cel-shading)

トゥーンレンダリングは、主にアニメーションなどのデフォルメされた表現に多く用いられる計算方式で、3Dモデルを2Dにみえるようにレンダリングします。
3DCGにリアリティを持たせると実写に近いクオリティになってしまうため、あえて2Dのように表現します。近年のアニメーションは、手書きでは難しい複雑な動きなどを表現するものが多いため、トゥーンレンダリングを用いることが増えています。

主なレンダリング作業の手法

レンダリング作業の手法には種類があります。ここでは、主な2つの手法についてみていきましょう。

プリレンダリング

プリレンダリング(pre-rendering)とは、3DCGソフトなどで作成した画像や動画を事前にレンダリング作業することです。
CGをプリレンダリングすることで、スマホやタブレット、ゲーム機などの画面で表示できるようにします。後述のリアルタイムレンダリング以外のものはすべてプリレンダリングです。
プリレンダリングについては、「プリレンダリングとは?リアルタイムレンダリングとの違いやメリット、活用シーンを紹介」にて解説していますので、あわせてご覧ください。

リアルタイムレンダリング

リアルタイムレンダリングとは、レンダリング作業と、画像や動画をほぼ同時に表示する手法のことです。
特に、インタラクティブ性の高いゲームやVRなどで使われ、ユーザーの操作や動きに合わせてリアルタイムにレンダリング作業を行います。このとき、データの処理を即時に行うため、機器には高いスペックが要求されます。
リアルタイムレンダリングについては、「リアルタイムレンダリングとは?基本知識やメリット、活用事例を解説」にて詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

「リアルタイム」レンダリングと「フォトリアル」レンダリングが可能な V-Ray

レンダリングソフトには3Dモデリングソフトに付属しているものもあります。多くのソフトにプラグインとして利用でき、広く使われているのは「V-Ray」です。
V-Rayは、リアルタイムレンダリングやフォトリアルレンダリングに対応したオールインワンのレンダリングソフトウェアで、初心者からプロまで幅広い層に利用されています。
3DモデリングソフトのSketchUpには、V-Rayがバンドルされた、SketchUp Studioが用意されており、最初から最後までビジュアライズするために必要な機能が備わっています。
また、Twinmotionは、建築やインテリア、消費者製品、輸送、ファッションなどで広く活用されているビジュアライゼーションソフトで、その最先端の技術から、こちらも高い人気があります。
Twinmotionについては、こちらを「Twinmotionの使い方を学ぼう!基本操作やツールの特徴を解説」と合わせてご覧ください。
レンダリングソフトはさまざまな種類が提供されていますので、作成するモデルに適したソフトを選択するとよいでしょう。
ビジュアライゼーション V-Rayについて

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3Dレンダリングの必要性を理解して、適したレンダリング手法を選択できるようにしよう!

3Dレンダリングソフトは、3DCGソフトで作成した3Dモデルをもとに、陰影や質感を伴うリアルな画像や動画を出力します。データの軽量化やフォトリアルな画像・動画を作成するためには不可欠なものです。レンダリングの種類や手法はいくつかあるので、作成するコンテンツに合わせた選定が必要です。そのためにも、3Dレンダリングの必要性や手法を理解しておきましょう。

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