CGパースとは?種類や活用される場面、制作方法などを紹介
電車内や不動産のチラシを見ていると、リアルに映るマンションや分譲住宅の広告を目にしますよね。「CGパース」と呼ばれる技術により、このような魅力的で写実的な広告ができています。広告以外にも、建築設計・デザインのプレゼンや建築コンペ資料の作成などに使われる「CGパース」。この記事では、CGパースの概要や利用場面、制作方法、3DCGソフトの選び方などを解説します。
CGパースとは
CGパースとは「Computer Graphics(コンピュータ・グラフィックス) Perspective Drawing(透視図)」の略で、一点透視図法や二点透視図法に基づいて空間を立体的に表現した透視図をCGで作成したものです。CGパースの役割として、住宅や商業施設などの空間、図面情報だけでは分かりづらいイメージを可視化し、施主と設計者間のコミュニケーションを円滑にします。
また、CGパースを作成するには、3DCADや3DCGソフトの利用が不可欠です。3DCADや3DCGソフトを通して、コンピューター上に3Dモデリングデータを反映させ、色・凹凸・反射率・屈折率や、カメラ設定を入力し、レンダリングによってCGパースが出来上がります。
さらにCGパースには大きく分けると4つの種類があります。建築物を対象とするCGパースを「建築パース」、橋梁など土木建設プロジェクトを対象とするものを「土木パース」、家電製品、家具や日用品などの工業製品を対象としたものを「プロダクトパース」、インテリアデザインを対象としたものを「インテリアパース」と呼びます。
CGパースは建築業界や土木業界、プロダクト開発など、さまざまな領域で重要なコミュニケーションツールです。
CGパースの利用メリット
CGパースの大きなメリットは、修正に手間のかかる手書きパースと比べて、パース作成後も色や素材などを簡単に変更できる点です。紙では難しい修正にも迅速な対応が可能になるため、商談や施工提案などの完成予想図に用いるのが効果的と言えます。
また、平面図や立体図だけでは認識しづらい、光の入り方や奥行きなどの情報を表現できる点もCGパースならではの特徴です。例えばエンドクライアントへの住宅物件の提案であれば、よりリアルで具体的な視点での完成予想図を提供できるため、クライアントの期待や満足度を大きく上げられるでしょう。
そして何より、限りなく完成予想図に近いものが共有できるため、設計者・施工者・施主の間のイメージ差異が減り、スムーズな施工や生産が行われやすく、理想的なアウトプットが可能です。
CGパースの種類
先ほど触れたように、CGパースは大きく分けて4つの種類があります。それぞれ説明していきます。
建築パース
建築パースは家やビル、施設などの建築物を表現する際に利用されます。建築パースのなかにも種類があり、外観パース、内観パース、俯瞰(ふかん)パースの3つがあります。特に外観パースにおいては、周辺の道路や周囲の建物、歩行者などの人物もパースに含められるため、実際の景観を表現する場合に適しています。
建築パースについて詳細は、「建築パースとは?その役割や作成方法について解説!」で解説してます。
土木パース
土木パースは駅や道路、橋などの建設物を表現するCGパースです。建築パースに比較するとスケールが大きく、ほとんどの場合、橋脚や柱などの外壁に覆われない構造物が剥き出し状態で表現されています。建設による景観への影響も表現できるので、時には開発計画の提案だけでなく、周辺住民へ建設の説明をする際にも使われます。
プロダクトパース
プロダクトパースは工業製品を表現するCGパースです。車や家電、靴など、複雑な立体を表現できます。販売時の見本や広告、プロモーションにも利用されます。アニメーションと組み合わせてリアルな使用感を伝えたり、製品ロゴを入れて魅力的に表現することも多くなっています。
インテリアパース
インテリアパースは、家具や照明等の内装デザイン、建物内部の実際の利用イメージを伝える役割を担います。特に窓からの太陽光の差し方や照明による雰囲気の差異まで、建物の室内を人間の目線で細かく表現するのが特徴です。住宅や店舗の設計を行う際の、内部レイアウトや内装の検討にも活用されます。
CGパースの活用例
次に、CGパースの活用例を紹介します。
建築設計・デザインのプレゼンテーション
CGパースの活用例の1つには建築設計・デザインのプレゼンが挙げられます。外観や内部の仕様を細やかに再現でき、クライアントへの魅力的なアピールが可能です。設計の検討段階で、エンドクライアントのニーズを明確にするため、複数個用意することもあります。
建築コンペ
設計者を決定する建築コンペにもCGパースが利用されています。プレゼンで案件を勝ち取ることができるかはCGパースにかかっていると言っても過言ではありません。住宅や建築物そのものだけではなく、建物が出来上がった後の情景をイメージ例として、太陽光が差す風景やライトアップされた夜景などを組み合わせてアピールします。公共施設のデザインコンペでは、デザインコンセプトや周囲の景観との親和性を伝えるうえで、外観も含めて表現できるCGパースは重要です。
不動産広告
不動産広告でもCGパースを活用し、魅力的な広告として集合住宅や建売住宅の販売に繋げています。CGパースは視点の位置や光の調節が自由自在で、時間帯が違うパースや近景、遠景が作れるため、臨場感を生み出せて販促に効果的です。
新施設や新製品のプロモーション
新施設がオープンする際に、外観・内観を含め施設の概要を伝えるために、CGパースが活用されます。CGパースの活用により、利用のイメージや施設の楽しみ方が頭に浮かびやすくなりプロモーションに効果的です。また、新製品の見本、カタログの商品イメージをCGパースで作る場合もあり、複雑な設計や文章では伝わりづらい製品の特徴をCGパースで伝えられるなど販促効果が期待できます。
CGパースの制作方法
続いて、CGパースがどのような工程で制作されるかを紹介していきます。
設計
まず、平面図や立面図で、3次元の設計図を作成します。建築などの場合、CADソフトを用いて設計するのが一般的で2D CAD などを使います。設計の段階から3Dで考える手法もありますが、ハイレベルであるため稀です。
3D設計について詳細は、「3D設計とは?活用することのメリットも紹介!」で解説してます。
モデリング
次に、モデリングを行います。作成した設計図は、物体の形・位置・大きさをコンピューター内部に表現しなければなりません。この作業をモデリングと呼び、出来上がったデータをモデルデータと呼びます。
ちなみに、3DCGソフトはSketchUp、Cinema 4D、3ds Max、Blender、Shade3D、Rhinocerosなどが多く使われています。
3Dモデリングについて詳細は、「3Dモデリングとは?表現の種類や3Dモデリングソフトの選定ポイントなどを解説」で解説してます。
マテリアル、ライティング
モデリングの後の工程には、マテリアル、ライティングがあります。モデリングで作成したモデルに、建物、製品などの素材感や、太陽光や照明を加え、よりリアルにする作業です。拡散反射、鏡面反射、環境光によるマテリアルの設定が一般的でしたが、最近は色・金属度・粗度の3要素から質感を設定するPBR(Physically Based Rendering)を利用することが多くなり、よりフォトリアルな表現ができるようになりました。
レンダリング
続いて、レンダリングの工程です。コンピューター内部に記述された3次元シーンから、2次元の画像を制作する処理のことをレンダリングと呼びます。レンダリングに特化したアプリがレンダラーです。この工程を経ることで写実的な表現が可能になります。
レンダリングについて詳細は、「レンダリングとは?建築パース制作での効果や工程を解説」で解説してます。
レタッチ
最後の工程である、レタッチとは「ひと手間加えること」または「画像を修正すること」を意味します。明るさの調整や色味の変更、人物の合成等が行われます。
レタッチではAdobe Photoshopなどの画像・写真編集ソフトを使います。照明や素材の色の設定など、モデリングツール上で細かく行うと時間がかかるため、レタッチにて対応し、細かい調整・修正もPhotoshopを使うことが多くなっています。
CGパース制作に使う3DCGソフトの選び方
最後に、CGパース制作に使う3DCGソフトの選び方を紹介します。
価格
まず、3DCGソフトの価格を確認しましょう。3DCGソフトの購入・サブスクリプションへの加入は総じて高額なので、予算に合う3DCGソフトを選ぶのが大切です。
3DCGソフトの相場は、年間約7万円から約30万円までさまざまです。また、学生は無償もしくは低価格で利用できる場合もあるため、確認しましょう。
学習のしやすさ
次に、書籍やYouTubeでの解説があるかは確認すべきでしょう。なぜなら、3DCGソフトは日本語で学べる環境が少ないことと、CGパースの作成は独学では難しいからです。
ユーザーが多い3DCGソフトは解説サイトが多いため、学習のしやすさの観点から、知名度が高い3DCGソフトがおすすめです。SketchUpは3DCGソフトの中でも3Dモデリングに特化していて、CGパースのために必要なモデルを制作することに向いています。製品版と同じ機能を、評価版で試すことが出来るので、購入前に使いやすさを確認することができます。また直観的に使う事のできるソフトとの評価も得ています。
フォーマットに設定されている素材の多さ
最後に、CGパース、特に建築CGパースの作成には、設定できる素材の多さが重要です。建築CGパースやインテリアCGパースには家具や小物、窓や壁などさまざまなモデルが必要となってきます。すべてのモデルを自ら作成するのは難しいため、内蔵された素材を使いましょう。SketchUpには3DWarehouseという世界最大の3Dモデル素材ライブラリがあります。こうした素材を使い時間を短縮して効率的にCGパースを作成できます。
CGパースを制作し、完成図のイメージを適切に伝えよう
CGパースとは、3DCGソフトを用いて一点透視図法や二点透視図法に基づき、空間を立体的に表現した透視図のことです。平面図や立体図だけでは認識しづらい情報を表現するので、設計者・施工者・施主の間で完成予想図のイメージの共有ができます。CGパースを作成する時は、金額や3DCGソフトの特徴を把握して、自分に最適な3DCGソフトを選びましょう。数ある3DCGソフトのなかでも、CGパースに必要なモデルの制作には、3Dモデリングが得意なSketchUpがおすすめです。インターフェースが親しみやすく、思い通りの3Dモデルが制作できます。ぜひ利用してみてください。
SketchUp評価版ダウンロードのページのリンク
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